ニュースレター
2009年6月号
2009年6月12日に当部門主催の第1回技術フォーラム「地球温暖化を克服するエネルギー戦略」をエネルギー工学連携研究センターとの共催で開催致しました。前々日の6月10日に麻生総理大臣の中期目標の記者会見が開かれた直後でもあり、まさにタイムリーな議題になったものと考えます。当日は約250名の皆様が参加され、各講師の講演、パネルディスカッションと、幅広い視点からの今後の参考になる内容を御紹介出来たのではないかと考えております。主な講演内容についてはホームページのイベント情報の欄から閲覧できますので、御興味のある方は御覧下さい。
6月10日の麻生総理大臣の発表では、2020年の中期目標は2005年比15%削減となっており、これは内閣官房が公表していたB案(最大導入ケース)と非常に近い案となっています。つまり最大導入ケースの14%削減案をベースに、太陽光発電を10倍から20倍に倍増した案となっています。ニュースレター4月号でこの最大導入ケースの場合の必要なCO2削減量について記載しました。今回の案では不十分という意見もありましょうが、この15%削減案の確実な実施にはかなりの費用がかかり、それは結局国民が負担することになるわけですから、その内容(具体策)をしっかりと議論し、本当にCO2削減に有効で、かつ無駄のない案にして行く必要があります。最大導入ケースでの各案のうち完全に投資回収可能な案の合計では4.7%しか下がりません。つまり残りの10%を下げるには、太陽電池10倍増の場合でも、必要設備投資額は33兆円、このうち回収不能分(つまりペイするには補助が必要)は15兆円と推計されています。これを国民が負担すると消費税5%程度に相当すると考えられます。その意味でも具体的な対策の実施に当たっては、知恵を出し、国民の英知を結集した対応が必要であると考えます。今回のフォーラムも、この対策立案に当たって、戦略的思考に基づき、無駄を省き、最小の費用で最大の効果が出るような案を、皆様それぞれの立場で考えられる際にお役に立てばという趣旨で開催致しました。引き続き当部門がこの面で貢献できることを願っております。
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